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2006年7月18日 (火)

最後の選択

皆さん、暖かいコメントありがとうございます。

筆が進まなくてすみません。

正直、いろいろばたばたしております。
皆さんのところもなかなかお邪魔しきれなくてごめんなさい。

ただ、こうして皆さんとやり取りできるのが非常に楽しくて、
何か妻が自分のなかに降りてきているみたいです。

yue少納言がどれだけ大きなパワーをもらっていたか、
とてもよくわかります。
さて。一日あいてしまいましたが、続きです。

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10日午後8時過ぎ。
病院の外で、立ち話だったが、U医師とは次のような話をした。

・今、胃がんで死ぬことはない。
しかし、呼吸がうまくできないために、心臓に大きな負担が
かかっている。心臓がどれだけ持つかの勝負になっている。
これは個人差が大きく、なんともいえない。

正直厳しい。今週中がやっとだろう。今夜でもおかしくはない。

・癌性リンパ管症を何とかできる可能性としては5FUの24H持続注入。
しかし、心臓へのリスクのほうがずっと大きい。
最悪、すぐに命を奪う可能性もある。効いたとしても
今のスピードを止めるだけ。つまり、呼吸苦の状態は続く。

・肺がんなら同じ状況からでもイレッサで回復する例
をたくさん見ている。
しかし、消化器癌へのエビデンスは皆無。
未承認だし、これもリスクのほうが大きい。

・ハーセプチンも同じ。どうしても使えというなら使うが、私は勧めない。

・そして、疼痛緩和のためには大きく2つ選択肢がある。
ひとつはモルヒネの投与。しかし、効かない可能性もある。
もうひとつは、鎮痛剤で意識レベルを下げること。
しかし、そのことで呼吸が止まるリスクが大きいことも覚悟する
必要がある。呼吸苦は、呼吸を和らげないと解消しないが、
呼吸を和らげることはリスクを大きくすることでもある。

・いずれにしても、これからは誰かができるだけついていて
あげてほしい。個室は24時間面会OKにするようナース
ステーションには話をしておいた。

・ここからどうするかは、最後にどういう思いがあるかで
決めること。それに沿った処置をする。私はあとでもう一度
部屋へ行くから、考えておいてほしい。

一日、大量の患者と向かい合って、疲れ果てているはずのU先生。
それなのに、患者の望む治療の姿を最後まで見極めようとしている。

先生の「患者中心の医療」への情熱と、人間としての温かさが身に
しみた。普段、厳しそうな人だが、内面は温かい。
yue少納言が主治医に全幅の信頼を置く理由がわかった。

私はyue少納言の元へ戻り、5FUの連続注入にわずかに
可能性があるといわれたことを話した。
そして、厳しければモルヒネの投与やさらに呼吸を楽にする
方法もあるが、意識が低下することなども話をした。

このころは、呼吸も速くなり心拍数もあがっていたが、
普通に話のできる状況だった。

妻と二人で出した最後の結論は、

「5FUの可能性にかける。でも、どうしても
つらかったら、いつでもやめていいことにする」だった。

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8ヶ月前、手術不可能であることを知ったときに私たちが決めた
「yue少納言3原則」という治療方針がある。
それは、

①できる限り、家族で過ごせる時間を長くする。
②できる限り、自宅で過ごせる時間を長くする。
③yue少納言は痛いのはきらいだ

であった。

①~③は優先順位を表している。

でも、「痛いのはきらいだ。」 は、ずっと妻が言い続けた言葉。
壮絶な闘病なんてしたくない。明確な意思があった。
ここまで、ずっと(多少の痛みはあったが)この方針は守ってきた。

私は最後にひとつの意思を捨てて戦おうとする妻の気持ちが
痛いほどわかった。妻は「時間」をほしがっている・・。まだ、妻には
伝え切れていないメッセージがある・・。

私は今まで聞かなかった最後の質問を妻にぶつけた。

「もしもここで最後ということになるとしたら、何がしたい?」
そして、「もちろんあとで笑い話になったら、それでいいんだから。」と。

yue少納言は、

「みんなに様子を伝えてほしい。みんなのコメント読んでいることを
伝えてほしい。みんなのコメントが読みたい。
それと、一番大切な親友二人にもう一度会いたい。」

と言った。

しばらくして、U医師が部屋に入ってきた。

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今日も、長くなっていますね。ごめんなさい。

本当はもっと淡々と書きたいんですが、どうしても気持ちが入って
しまいます。こういうとこ、yue少納言は抑えて書くのがうまかったな、
と、我が妻ながら感心してしまう今日この頃・・。
次、明日書くお約束はできませんが、ぜひまたのぞいてやってください。

あ、そういえばアクセス、15万超えてました。
みなさん、本当にありがとうございます。
yue少納言も心から喜んでいると思います。

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コメント

ぱぱっちさん、まおたん、そして、空の上できっと私の母や先に乳ガンで他界した私の高校の同級生やわが家のウシ猫と会っているであろうyueさん、こんばんは。
「最後の選択」を行うときを迎え、どのような状況にあったのか、本来ならしんどい場面であるにもかかわらず、今、拝読していて、冷静に受け止めることができている自分がいます。それはおそらく、ぱぱっちさんの言の葉の力。
乳がんだった高校時代の友人も、「やまい」そのものよりもその治療による心肺機能の急激な低下によって最期を迎えました。彼女のパートナーもまた同級生。私は、昨夏、告知をうけてすぐに、自分の夫ではなく、まずその彼にメールしました。すぐに遠く離れた鹿児島から東京へ電話をくれました。その彼が、彼女の様子を丁寧に話してくれたことで私はちゃんと「やまい」と向き合えた気がしています。そして、彼女の分まで生きていかねばと。逃げ出さないでちゃんと手術、治療を受け、仕事も続けようと考えることができました。ぱぱっちさん、何日空いても、何ヶ月空いてもかまわない。ゆっくり、ゆっくり、綴ってくださいね。いつか訪れるであろう、まおたんがそれらの言の葉をかみしめながら声に出して読む日のために。

投稿: はむうし | 2006年7月19日 (水) 00時03分

yue少納言さんは自分の意思で人生を選び取ったのですね。見習いたいです。
何よりも信頼できる医師とめぐり合えて(前の先生も含めて)本当に良かったと思います。納得できたでしょうね。

今日は友人たちと飲み会でした。みんなyue少納言さんのブログを見ていた仲間なのです。献杯をしたのですが、伝わったかな~?

投稿: きゃんべる。 | 2006年7月19日 (水) 00時04分

ぱぱっちさん、お疲れの所をありがとうございます。
ほんの気まぐれで始めたブログですが、
今では私の一部になっています。
今では、ブログやってて本当に良かったと思っています。
yue少納言さんの
「みんなに様子を伝えてほしい。みんなのコメント読んでいることを
伝えてほしい。みんなのコメントが読みたい。
それと、一番大切な親友二人にもう一度会いたい。」
という言葉にジーンときました。もう泣かないって決めたのに、意志が弱くて困ります。

ぱぱっちさん、無理はしないで下さいね。
のんびりと更新を楽しみにしてますから。
それから、まおたんによろしく!

投稿: がんこ | 2006年7月19日 (水) 00時09分

ぱぱっちさん、お忙しい中更新有難うございます。
私はまだまだお通夜や告別式の日を理解出来ずにいます…。
でもまわりの人と少納言さまのことについて語るたび、だんだん自分の気持ちに気付いて行く気がします。
なんか抽象的ですみませんが、ぱぱっちさんが更新してくれると、私も少納言さまとまだ繋がっている気がします。
今までのことでも、これからのまおたんのことでも、何でも良いので、お時間のある時にたまに書いて下さい。
みなさんと同じように、私も待っています。

投稿: ebe | 2006年7月19日 (水) 00時21分

ぱぱっちさん、yueさんこんばんは!
yueさん、ほんとうに苦しい中でもはっきりとした自分の意思・決断、素敵です。
そうしたい、そうなりたいと思ってもなかなかできることではないと思います。
ぱぱっちさんをはじめyueさんを囲むまわりの人のすばらしさも感動しました。
しばらくブログを休んでたんですが昨日から
再開しました。きっとyueさんが、「毎日見てるのにどうしたの?!」って言ってるような気がするんです。いままで同様自分らしいブログを続けます。yueさん、毎日のぞいてねーー!

投稿: merry | 2006年7月19日 (水) 00時56分

やっぱりそうだった。。。

見て欲しかったし、見たかったんだよね

ごめんね。。。

本と、まだママちゃん信じられなくて。。

だって七夕にコメントくれたばかりだったし

母としてまだまだやりたい事、見たい事あったでしょう

それなのに何て強い人なんでしょう

ママちゃんは絶対真似できないです。

今は「まったり」してますか?

「まったり」とコメント見てくれること祈ってます。

投稿: 優奈のママ | 2006年7月19日 (水) 03時18分

ぱぱっちさん。
お忙しい中のご更新ありがとうございました。。
私は11日、実は旅行中でした。
旅行が決まった時は、yue少納言さんも旅行記を楽しみにしてると言ってくれてました。
帰ってきて呆然としている次第です。

ブログの存在が大きくなっていたんですね。。
大変な時にコメントできなかったこと、残念でなりません。

投稿: どらまま。 | 2006年7月19日 (水) 06時31分

ぱぱっちさん、お辛い中更新ありがとうございます。yue少納言さんは最後まで、自分の信念をつらぬいたのですね。本当にブログを大事にしてたのですね。だから、一人一人のコメントにも必ず返事を下さってのですね。ブログだとお互いの顔も知らないけど、今ごろはyue少納言さんはブログ仲間のところを回っているかもしれませんね。

投稿: ハム | 2006年7月19日 (水) 09時26分

ぱぱっちさん、更新ありがとうございます。
こうしてブログにかかわる事で、少しでも悲しみがやわらいでいくなら、私はとてもうれしいです。
yueさんがブログの方へ手を引いているのかも、なんて思ったりします。

また見にきますね。

投稿: rider | 2006年7月19日 (水) 09時32分

初めてコメントを書き込んだのは、
yue少納言さんが亡くなったときでした。
何か書きたい、yue少納言さんとお話したいな、
と思いつつ、一度書いたらずっと続けたい、
途中で消えちゃうのは避けたいと思って、
自分の体調を考えて迷っていたのでした。

ぱぱっちさんのブログを読んで、今では後悔しています。
たとえ1回でも、伝えておけばよかった。
ブログ楽しいです。書いてくれてありがとう。
毎日元気を貰っています、って。
伝えられるときに伝えなくてはいけないって、
知っていたはずなのに・・・
どうしてためらってしまったんだろう。

ぱぱっちさん、私たちにこうして伝えて下さって、
本当にありがとうございます。
こういう風にyue少納言さんの最後の時間を
感じさせて頂けること、心から感謝しています。

yue少納言さんがブログでぱぱっちさんのことを
のろける様子、ふんわりと幸せそうで可愛くて、
私は大好きでした。

投稿: あつこ | 2006年7月19日 (水) 11時55分

ぱぱっちさん、忙しくまたお辛い日々なはずなのにアップしてくださってありがとうございます。
毎日何度もここへ来て、何回も繰り返して読ませて頂いています。

投稿: あある | 2006年7月19日 (水) 12時15分

わたしも、もう泣かないって決めてたけど、やっぱり無理です。
yue少納言さん、たまに思い出して泣いちゃいます。そして、知らなかったことを知ると、もっと泣いちゃう。でもしばらくは許してください。
ゾメタ痛は本当に辛そうだったし、息切れも、誰かになんとかしてほしかった。
最後まで、痛いのも辛いのも、我慢したんですよね。
だから、まおたんの盆踊りやお誕生日、一緒に過ごさせてくれなかった神様に呆然としたし、悔しくて悔しくて仕方なかった。だから悔しくて、泣けてくる。
yueさん、ホントに素敵なご主人ですね!ノロケてた理由が分かります(笑)今はyueさんのお陰で、わたしたち、たびたび話題になっていたぱぱっちさんとお話できてますよ~!

投稿: すみ | 2006年7月19日 (水) 13時24分

>「みんなに様子を伝えてほしい。みんなのコメント読んでいることを伝えてほしい。みんなのコメントが読みたい。」

このyue少納言さんの気持ち、ここにいらしてる皆さんには痛いほどわかると思います。。。

部位は違っても、同じ病で支えあっている仲間、家族の方々、お友達、顔は知らなくてもどんなにか心の支えになっていることか。。。
「救われる」という言葉を口にするなら、まさにブログは救いの場所・心が落ち着く場所だったのかもしれませんね。


投稿: りんりん | 2006年7月19日 (水) 19時26分

ぱぱっちさん、お忙しい中アップありがとうございます。yue少納言さん、がんばったんですね。「もしここで最後ということになるとしたら何がしたい?」という質問に、ブログのみんなと親友の方達を大切に大切に思っていた事をしみじみ感じます。ゆっくりでいいので続きをよろしくお願いします。

投稿: さかな | 2006年7月19日 (水) 19時49分

ぱぱっちさん♪

ありがとうございます。
どういう経緯をたどったか改めて書くことが
ぱぱっちさんの胸のうちがどんなかを想像するだけでつらいです。
でも私はまた勉強させてもらっています。
yue少納言さんには色々教わりました。
ほんとにありがとう・・・

お疲れでしょう。
無理のないように。。。

投稿: ぶげまま | 2006年7月19日 (水) 21時49分

ぱぱっちさん お辛いところ・・ありがとうございます
信頼できる医師・治療の選択
できるようでできないことです・・・
ご無理なさらないでくださいませ

投稿: hhitomii | 2006年7月19日 (水) 22時39分

ぱぱっちさん。
初めて投稿させていただきます。
きゃんべる。さんのところから来ました。凛として潔い文章が好きでyueさんのブログにはよくおじゃましていたのに、yueさんとお話しすればよかった。
なんだか以前よりもっともっとyueさんが近い存在のような気がします。不思議です、こんな体験は初めてです。気がつくとyueさんの足跡を捜しているのです。
たくさん、たくさん(想像がつかないぐらい)の人の心に
yueさんはあたたかい何かを残してくれたのですね。
遅ればせながら心からyueさんのご冥福をお祈りしています。

投稿: ngon | 2006年7月19日 (水) 22時43分

ぱぱっちさん、そしてyue少納言さん。
大変なときに最後の決断を教えてくださって、
ありがとうございます。
yue少納言さんが最後の最後まで自分の生き方を自分で考え、
そしてぱぱっちさんがそれを大事にしてくれたこと。
それがよく伝わりました。
最後の瞬間が近づきつつあるときの様子なのに、
なんだかすごく落ち着いた気分で見ることができました。
きっとyue少納言さんの包み込むような笑顔を
想像しながら読むことができたからでしょう。
できるときでいいので、ぱぱっちさん、
またyue少納言さんのこと、教えてください。
ありがとうございます。

投稿: たんたん | 2006年7月19日 (水) 23時25分

ぱぱっちさん、こんにちは♪

今日、転院したGセンターの初診でした。yue少納言さんもきっと心配してくれてると思い、報告に来ましたよ~
もう検査は嫌なんだけれど、もうひと頑張りして踏ん張ってみます!自分で納得がいけば、結局わからなくても納得して治療が受けられるような気がして・・
yue少納言さんの強さ、見習いたい!
ブログにも書き続けるので見守っていてくださいね~
今でもyue少納言さんがコメントくれるような気がして待っています・・

投稿: ミームラ | 2006年7月20日 (木) 01時11分

皆さん、本当にあたたかいコメントをたくさん寄せていただき、ありがとうございます。
なかなか続きを書けなくてごめんなさい。
ただ、皆さんのお言葉に甘えて、ゆっくりでも必ず更新していきますので、時々のぞいていただけるととてもうれしいです。
こうしている間にも、たくさんの方が見に来ていただいていること、本当に感謝しています。明日の朝までには続きアップしますので。

明日はまおたんの4歳の誕生日です。先ほどプレゼントを買ってきました。そして、yue少納言が残した、本当は読むはずでなかったまおたんへの手書みを開ける日です。何が書かれているか、私も楽しみです・・。
というわけで、これからまおたんをお迎えに行ってきます。また後ほど・・。

投稿: ぱぱっち | 2006年7月20日 (木) 16時59分

ぱぱっちさん
更新、ありがとうございます。こうしていただけることで、yue少納言さんといつまでも繋がりが持てる幸せを感じます。でも、ホント無理はなさらずに、まおたんのお誕生日を過ごされてからでも…いつでも待っています。
うーん。本当はもっと落ち着いてコメントしたいことがたくさんなのですが、なかなかきちんと書けなくて。。

yue少納言さん
ちょっと副作用が出てきて、「うーん。」の一日でした。でも、応援してくれたパワーを思い出して、乗り越えるわ! 

投稿: れひ@病院! | 2006年7月20日 (木) 21時46分

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